簡易設定

見えざる手のヴェンデリン

　複数の短剣と異形を組み合わせて操る妖魔冒険者。
　別の地で追われる身となり、過去の記憶から逃避するべく戦いに明け暮れる。

PL：カテナ

容姿・特徴・戦い方

　浮浪者のような見窄らしい格好に伸び放題の黒髪、そしてまばらに生えた無精髭。背は高いがやや細身で、浅黒い肌に澱んだ赤い目を持っている。首から下げられた、不釣り合いに輝くミスリル銀のメダル(冒険者証)がなければ、まさかこれが神殿の冒険者だとは誰も思うまい。

　ヒーラーの業である薬物と毒草知識、香と煙、錬金術の可燃薬液やロープトリックを操る軽戦士。兎角戦いとなれば手段を選ばぬ男であり、使える道具は何でも覚えて自分のものにしようとする傾向がある。また自ら妖魔として持った異形により、“見えざる手”が遠隔の敵を切り裂いていく。戦場では狡猾な妖魔を体現したかのような不気味さと周到さを見せる事だろう。

　……だが生活能力が極端に低く、目を離せば数日で自室が荒れ果てる為に薄明館ではしばしば女中のマーサの怒りを買っている。当初こそ反抗的なヴェンデリンであったが、近頃は彼女の物怖じしない性格に対して根負けし、素直に言うことを聞くことが増えてきた。

RPメモ

一人称：俺
二人称：お前
三人称：連中
口調：基本的に乱暴で失礼が過ぎる物言いだが明確な目上に対しては多少の敬語も使える

ライフパスを交えた設定

【出自：超感覚】
　感覚の鋭いフォモールの一族の末裔。その感覚の鋭さ故だろうか、その内から太陽神の声を聞くものが現れ、一族は邪悪化の影響から抜けていった。そんな中、エルーラン王国領内、ルネス近郊の農村にてヒューリンに身をやつしていた二人のグライアイからヴェンデリンは生を受けた。

【境遇：正体】
　ヴェンデリンは自らの正体を知らぬままルネスにてヒーラーの知識を学び、そのまま薬師となって世界各地を巡った。その過程で山賊やゴブリンなどとの戦闘を経験し、短剣の扱いにも秀でるようになる。流れ着いたロダニアにて傭兵として雇われ、周辺の妖魔を討伐していった。

　だがある日ロダニアを訪れた神官に呼び止められ、自らの正体が妖魔であると告げられる。

「馬鹿な、そんな筈はない！」

　まさに連行されようという時、初めて《異形》が発現したのだ。突如として現れた”見えざる手《グライアイ：インビジブルハンド》”は取り押さえようと迫る神官達を薙ぎ倒した。彼らが怯んだ隙に、ただ走った。

　そして夜の森の中ではっきりと意識した。自らの、知りたくもなかった醜悪な正体に。

【目的：戦い好き】
　なぜ親は教えてくれなかったのか。なぜ迫害されなければならないのか。もうロダニアにも、ルネスにも戻れない。

　自暴自棄になり、ただ再び北を目指す。出逢う賊徒や妖魔の類は全て殺した。戦っている時は気が楽だった。自分が何者か、などと考えている余裕もないからだ。

　そんな折、ついに大腐海に面した復興都市マジェスタへと流れ着く。そこで妖魔を受け入れているという冒険者ギルド”黎明会”と出会い、そしてそのメンバーとなった。傷だらけの妖魔には世辞にも似合わぬ、新たな冒険者証と共に。

伝承武具 "黒銀のレガリア"

【夜闇の剣、黒銀のレガリア】

誓約「伝説の武具」にて取得。種別は短剣。特徴や呪詛は持ち合わせない。

継承「友情」
　「重量」+2、装備者の【敏捷】に+1する。

伝承「暗闇の武具」
　パッシブ。装備者は[暗闇]の影響を受けない。明度のルールを採用している場合、明度3以下の効果を受けない。さらに、[暗闇]の影響がある場所にいる間、装備者が行なう攻撃のダメージに+[CL÷3+2]Dする。

宿命「闘争」
　その武器を持つ者は、終わりなき戦いに身を投じることになるだろう。

【取得の経緯】
　霧の夜、大腐海の畔で出逢った不思議な男と交わした友情の品。彼は多くを語らなかったが、短いやりとりの末、半ば強引にこの剣を手渡した。

「闇の時代に備えよ」

　それは僅かに湾曲した暗銀の刀身を持つ小振りな細剣である。装飾のように複雑かつ精緻に刻まれた多重のルーンにより闇の精霊の力が封じ込められているようだ。

　奇妙な事に、この剣はヴェンデリンの手によく馴染んだ。暗い刃から闇と共に滲み出す瘴気が、どこか妖魔の身体と相性がいいらしい。

　……後にマジェスタの高名なウィザードに鑑定させたところ、この美しい細剣はヴァンパイアの王、ブレアスの古い所持品“黒銀のレガリア”であると判明した。既に別れて久しいが、あの男は何故俺にこのような品を預けたのだろうか。


【レガリアを託した男】
　ヴェンデリンの妖魔一族は代々感覚が鋭く、かつて太陽神から直接啓示を受けて邪悪化の影響から脱していった過去がある。それもヴェンデリンには知る由もないことだが、大腐海の畔で出会った男は主神アーケンラーヴの化身の1人であった。即ち彼は、祖先と同様に太陽神の声を聞いたのだ。

　託された細剣、“黒銀のレガリア”は夜の闇の中でこそ真価を発揮する。神々の御考えを理解しきる事は困難で、同時に烏滸がましい事でもあるが、恐らくはやがて火の粛清の後の時代(闇の時代)か、あるいは魔王ブレアス勢力拡大の折に、人類側の対抗手段として用立てられた品の一つなのだろう。

【その他】
通称：夜闇の剣、黒銀のレガリア
別名：“指揮剣”エル＝ディアボロス

　ヴェンデリンはこの剣を一般的に流通している粗末な小剣用の鞘に納めている。柄には握り易さを向上する為に獣の皮と薄布を巻いており、一見して貴重な品だとは到底思えない見た目へと成り果てている。

　この粗雑な扱いは偽装用…… という訳ではなく、単に本人が使い易いと考えてのことらしい。

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収支履歴