代々辺境伯に仕える騎士団の家系であり、その源流は赤枝の騎士団にあるとも、あるいはもっと神話的なものの傍流ともいわれる。
　とはいえ、今では信頼こそあるものの神秘性は失われて久しい。

　ウィルニールの血筋はかつて、神秘なるものの管理を行っていた。
　聖遺物や呪物を集めていたのだが、長い歴史の中で散逸してしまっている。
　現当主、ダリル・ド・ウィルニールは野心とともに誠実さを兼ね備えた好人物で、実力も確かだ。
　しかしかつての栄光はもはや遠い。野心が燃え尽きるか命が燃え尽きるかなど、歴史の中では誤差に過ぎない。

　アレサはウィルニール家の次女として生まれた。上には兄と姉がひとりずつ、下に妹がひとりある。
　このため家督を継ぐことこそないが、その伝統に名を連ねる者として力を蓄える責務がある。
　幼少の折から剣の師に才を認められ鍛錬を受けてきたが、実戦経験の不足を理由に、崩壊したマジェスタの再建に手を貸すよう当主から命じられた。
　つまりは、この事業に手を貸すことで様々な経験を積ませようという腹積もりである。
　かくしてアレサは快適で安全な家、オーダーメイドの使いやすい武具、潤沢な食事を全て手放し、僅かな準備期間に稼いだ資金と最低限の装備で旅立つこととなった。

　一見過酷ではあるが、どのような旅立ちにするかと議題があがったとき、ほかならぬアレサが望んだことであり、そのためか彼女はこの「修行」に前向きである。

　年の割に落ち着いて見え、己をよく弁えた立ち振る舞いを心掛けている。
　修行の一環として復興に参加しているだけに、依頼への協力姿勢は前向き。同時に、妥当な報酬も求めるタイプ。
　不必要な争いは避けようとするものの、やはり若さのためか己の実力をはかることに意欲的で、敵対者には容赦なく攻撃をかけるし、戦闘そのものは好んでいる向きがある。
　至極真っ当に育てられたものの、家督を継がせる必要がないためか特別高等な教育を受けたわけではなく、どれかと言えば”剣”の立場である。

父：ダリル（ウィルニール14世）
母：エイリアナ

長兄：ディレック
長女：エイミ
次女：アレサ←これ
三女：アーシャ